米国オークリッジ国立研究所での研究留学生活

January 9, 2019
by Keichi Takahashi

2018年7月から12月までの約6ヶ月間,米国テネシー州のオークリッジ国立研究所 (Oak Ridge National Laboratory, ORNL) で客員研究員として勤務した.ORNLへ研究留学した日本人のブログは見当たらなかったので,主に日常生活を中心に記録を残しておきたい.

研究所

ORNLは,米国エネルギー省管轄の国立研究所の1つで,高性能計算,材料科学,中性子科学等の研究分野で優れた成果をあげている.僕の専門である高性能計算に関して言えば, Top500で1位を勝ち取ったSummitやTitanといったスーパコンピュータを保有し,潤沢な計算資源を活用した最先端の研究が行われている.

ORNLでは国防に関係する研究も行われているため,キャンパスの入り口に検問所が設置されており,一般のタクシーやバスは入構できない.さらに,検問所から建物まで5km程度あるので,車なしで通勤は難しい.自転車で通勤している強者も研究所に少なくとも数人いるようだが,大抵の人は思い留まった方が良いと思う.研究所内に駐車場は十分にあるので,駐車に困ることはない.ただし,建物に近い駐車スペースは限られているので,建物の近くに駐めようと思うと,朝早く来なければならない.

キャンパス内には各種研究施設のほか,食堂,診療所,ジムなどがある.コンビニや購買のような店はないが,各建物にコーヒーやおやつを買えるスタンドがある.キャンパス自体は広いが,研究室や食堂等の主要な建物は集まっているので,建物間の移動は徒歩で可能だ.

住居

ORNLは,オークリッジという小さな町から車で15分の場所にある.また,オークリッジよりは大きいノックスビルという町からは30分程度の場所にある.研究所で働く人のほとんどがオークリッジかノックスビルの周辺に住んでいる.

オークリッジとノックスビル周辺は米国内では比較的家賃が安い (らしい).月600〜700ドル払えばまともなone-bedroom (1LDK) のアパートメントを借りられる.僕の場合は,同僚の友人が転職のためマンションの契約期間を満了する前に引っ越したので,そのマンションに住まわせてもらった.当初はいわゆる又貸しだったが,後日正式に賃貸契約に名義を追加した.その友人が引っ越しの際にほとんどの家具を置いていったので,寝具と電子レンジのみ購入した.

電気,水道,インターネット等は契約し直すのも面倒だったので,友人の口座から引き落としてもらい,Zelleという個人間送金サービスで支払った.毎月の家賃と光熱費の大まかな内訳は以下の通り:

  • 家賃: 700ドル
  • 水道: 25ドル
  • 電気: 50ドル
  • インターネット (ケーブル): 20ドル

食事

平日の昼食はほとんど研究所の食堂で研究室のメンバと一緒に食べた.食堂のメニューは,ハンバーガー,サンドイッチ,タコス,ピザ,サラダ等の定番メニューに加えて,日替わりでアジア料理やイタリアン料理があった.普通に食べると大体一食6〜8ドル程度だった.弁当を持ってくる人も多い.まれにgroup lunchとして研究室の外の店に連れ立って食べに行くこともあった.

夕食や休日の食事は,ほとんど家で簡単なものを自炊するか,冷凍食品を温めて食べた.まれに外食をする際はYelpでレビューが良い店を調べるか,同僚のおすすめの店に行った.たまにUber Eatsで出前を頼むこともあった.なお,ORNL内の食堂は昼しか営業していないため,食堂で夕食を食べることはできない.

食材は主にKroger, Costco, Wholefoods Marketで買った.食材の品質と価格は,大体Wholefoods Market > Costco > Kroger > Walmartという順だと思う.Costcoは品質に比べ例外的に安いが,バルクで買わなければならないので,一人暮らしの場合は少し使いにくい.日系の食材については , Lucky Asian Martという韓国・日系のスーパーで購入した. Lucky Asian Martは 韓国人と日本人が経営しているらしく,店舗の半分は韓国系,もう半分は日系の品揃えになっている.他にもアジア系のスーパーはあったが,中華系やベトナム系の食材がメインだった.

オークリッジとノックスビルにはほぼ公共交通手段が存在しないので,車を購入した.同僚にアドバイスをもらいながらAutotradersやCars.com等のサイトで良さそうな中古車を探してディーラーに見に行った.個人オーナーの中古車も見に行ったが,良い車は見つけられなかった.結局,Airport Hondaというホンダのディーラーで日産のSentraという車種の中古車を購入した.同僚と一緒にディーラーを回り,試乗や価格交渉の際に助けてもらった.

自動車保険については,国際免許かつ契約期間が短いという事情から,大手の保険会社では契約を断られたり,高額な見積もりを出された.そのため,DairylandAutoというマイナーな保険会社で契約した.対人賠償50,000ドルと対物賠償25,000ドルで毎月の支払いが100ドル程度だった.人身傷害は,自分の健康保険がカバーするので,付けなかった.もう少し長い期間滞在し,現地の免許を取得するなら,GeicoやAllstateなどの大手でずっと安く契約できると思う.

必要に応じてUberも使った.ノックスビル周辺はUberドライバが多く,いつでも呼べばすぐ来る.オークリッジ周辺はドライバが少なく,ノックスビルから来ることが多いため,多少時間がかかることがある.しかし,Uberが捕まらなくて困ったということは一度もなかった.

帰国前に,CraigslistおよびORNLのインターン向けFacebookページに広告を出した.インターン向けFacebookページ経由で1人のポスドクから連絡があり,そのポスドクに売った.ディーラーにも見積もりを依頼したが,購入時の半分以下の価格を提示されたので,やはりディーラーに売るのは最後の手段だと思う.テネシー州で車を売却する手続きは簡単で,certificate of titleとodometer disclosure statementにサインをするだけだ.Titleの移動に公証人は不要で,ほとんどのcountyでemission checkも要らない.

携帯電話

Mint Mobile というMVNOで,電話・SMS無制限,4Gデータ通信5GBで月24ドルのプランを購入した.回線はT-Mobileなのでカバレッジはあまり良くないらしいが,普段の生活圏内では不自由なかった.高速道路で移動しているときに接続が切れることはあった.

携帯電話は,以前から使用している,日本のAppleで購入したSIMフリーのiPhone SEを持参した.渡航後に現地のAppleでiPhone 8を購入して乗り換えた.

銀行口座

Bank of Americaで口座を開設した.開設時に必要だった書類は,パスポートと住所を証明する書類 (自分の場合は賃貸契約) のみで,SSN (社会保障番号) は不要だった.当初は研究所内に支店があるORNL Federal Credit Unionで口座を開設しようとしたが,SSNが必要と言われたので諦めた.ちなみにノックスビルおよびオークリッジにはChaseの支店が1つもない.

また,日本からある程度の資金を持っていく必要がある.今回は,渡航前に日本に住む家族に日本円を送金し,アメリカで口座を開設したのち,日本から送金してもらった.帰国時にはTransferWiseというP2P送金サービスで自分の口座に送金した.銀行の送金よりTransferWiseの方がかなり手数料が低かったので,次回からはTransferWiseを使うと思う.額面が大きくなければ,現金で持っていくという選択肢もあると思う.

健康保険

AIG損保で出張者用プランの保険に加入した.6ヶ月間で14万円弱だった.もう少し安いプランでもJ-1 VISAの要件は満たせたはずだが,大学からの要請でこのプランになった.

  • 治療救援費用: 無制限
  • 傷害死亡: 2,000万円
  • 疾病死亡: 2,000万円
  • 個人賠償責任: 1億円